FC2ブログ

文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2020-07

ショートショート 1016

●朝

「世界で最も偉大な発明は」
 扉の向こうでおとうさんが言った。
「新聞だとおれは思うんだよ」
「どして?」
 わたしが訊くと、
「だって新聞がなかったら、
トイレで何をしてればいいのかわからないじゃないか」
「もー! さっさと用だけ済まして出てきてよ!」
 いらだちに激しいビートを扉に刻んだ。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1015

●くらべもの

 彼と二人ではじめての泊りがけ旅行は、ずっと行きたかった島。
 空港を出たところから見える海でさえ普段の見るものとは違う。
ほんとうに宝石を溶かしたような、うそのように青い海。
「うわー! きれい!」
 思わず声を上げると、
「そうでもないよ」
 彼がつぶやく。
 ――む。なんでそういうこと言うかなあ。
 それでも気持ちを盛り上げて、彼に言葉をかけてみる。
 小さな露店のような小物屋さんで、
「ね、見て。かわいい」
「まあまあだな」
 道端にある食べ物屋さんでは、
「すごーい、いいにおい」
「たいしたことないな」
 来たくないなら別の場所にしようって言えば良かったのに。
 こうなったらこんな男は無視してわたしだけでも楽しんでやる!
 彼の意向は気にせずに、わたしが見たかった遺跡へ。
 話に聞いていた石垣は聞くと見るとでは大違い。
古代人が作ったなんて思えないくらいの美しさに、
「すごい……なめらかな曲線」
 心から漏れる言葉に彼が言う。
「おまえほどじゃないよ」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1014

●プレゼント

 今年の母の日、夫がミュージカルのチケットをプレゼントしてくれた。
 家族三人で楽しんでの帰り道、
楽しい夢の終わりを噛み締めながら
夕飯をどうしようかとうんざり考えていると、夫が言う。
「たまにはうまいものでも食べて帰ろうか?」
 ああ、これで食事のことを考えなくていいんだ!
 ほっとつくため息に、息子の言葉。
「いつもおいしいから家で食べるよ」
 そんなこと一度も言ったことなかったのに、
かわいいこと言ってくれるじゃないの。
「おかあさんもたまには家事から解放されたいと思ってるんだよ。なあ?」
 夫に訊かれ、わたしは答える。
「わたしはどっちでもいいよ」
「じゃあせっかくだし、外食して帰ろう」
 うきうきとした気分でどこかのお店に行く途中、
夫が息子のそばに寄り、ひそめた声で話すのが聞こえた。
「さっきの、母の日だからか?」
「うん」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1013

●愛に生まれて

 家の一角、赤ちゃんにおっぱいをあげている母親にこどもが訊ねた。
「なんで赤ちゃんはおっぱいだけで平気なの?」
 母親は優しい目をして答える。
「お乳にはね、おかあさんの愛と栄養がいっぱい入ってるからだよ」
 それを聞いていた冷蔵庫の低脂肪乳が叫んだ。
「返してよ! わたしたちに存在意義を返してよ!」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1012

●好きだから

 平均寿命を超えて父が亡くなり、家でのお通夜。
 やってきた父方の親戚はみんな手に手にお酒を持っていた。
「あいつは酒がすべての人生だったからなあ」
 はじめて見る誰かのつぶやきに周りもうんうんとうなづく。
「酒がすべて? 父さんが?」
 昔見ていた父は仕事をまじめにこなし、
家に帰って食事後の一杯をちびちびとやる程度だったはずだ。
 そう訊ねると母は楽しそうに、そして寂しそうに笑って、
「あの人は『仕事の後の一杯がなによりうまい』って、
ただおいしくお酒を飲むために働いてたんだよ」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1011

●酒

「はあ、なにこのお酒」
 趣のある街の小料理屋で異国人が聞こえよがしにつぶやいた。
「うちの国じゃお酒をスピリットって言ったりするのに。
うちの国じゃなくてもオード・ヴィーやウィスキーは『命の水』、
魂入ってるよ。なのにこの国のお酒はどう。
こんなふぬけた魂のないもの、水以下だよ」
「なんだと、外人風情に何の味がわかるってんだ!」
 怒りに任せて立ち上がる造り酒屋の若旦那――を止める
文学部の助教授が叫んだ。
「酒に魂がないだと? 酒は清らなもののサをケにつけた言葉で、
ケはキと読みお神酒になどに使われる。
キは気に通じ、魂の意味だ。味が悪くなることも
気が抜けると言うだろう。酒にある魂もわからずに、
その国の言葉もろくに話せない外人風情が、
知ったかぶりで語るなってんだ!」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1010

●鳥

 今日は九月九日。雲もなく空の澄んだいい日和。
おかあさんたちも出かけたことだし、鬼の居ぬ間に洗濯でもしよう。
 居間の棚からおとうさんおとっときのお酒とおちょこをもって上に行く。
 今が一番いい時期だとかおとなたちは勝手に言うけど……
「♪しょせんわたしは まだ籠の鳥。うさを晴らすにゃ 水酉で~」
 ってなものなのだ。
 物干し台で日を浴びて、古代の人に思いを馳せる。
 昔のこの日は高台に登り、お酒を飲みながら
長寿を願うのが人々のならいだったとこのまえ授業でやった。
 鈍く黒いつやに光を映すおちょこにお酒をついで、
まずは匂いを確かめる。
「ん~、いいにおい」
 ほんわりただよう甘いかおり。つくづくわたしも風流だ。
「じゃ、健康と長寿を願って」
 かんぱーい。

 きゅっと一息にあおってみて、
「ぼっ!」
 そして一気に噴き出した。
 口を押さえる指の隙間からはぼたぼたと血でない液体が落ちていく。
「ぐ……。げふげふげふ」
 鼻に! 鼻に入ったあー!
 なにこれ? 飲み物だとかそんなものじゃなくて、
ただ痛いんだけど。なにが良くてだれがこんなの飲んでるの?
「もー飲まない! こんなもの頼まれたって飲むもんですか!」
 鼻水とお酒の混じった液体を手のひらでぬぐい、涙を拭いていると、
「たーだいまっ」
 扉を開けて、おかあさん。
「あ、おかえり」
 そんなわたしを一目見ると呆れ顔。
「まーた酔狂なことやってるの?」
「酔狂じゃないよ。すいちょう止まり」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1009

●みと

 外国旅行で観光地のトイレに入ろうとしたら、
かっこいい男の人が係の人に止められていた。
 すらりと高い背、整った顔立ちから発せられる言葉は
ここの国のものではなく、言い合いに高ぶっているのか
大げさな手振りで一生懸命訴えていた。

 [わたしは]、[そこに]、[入りたい]。

 言いたいことはわかるけど、そっちは女子トイレ。
 たくましいおばさんはでんと構えて首を振り、
 [あんたはあっち]。
 別の入り口の男子トイレをさしているのに通じない。
『ああもう、なんでわからないかな』
 男の人がつぶやいたのは、わたしがわかる言葉。
 そこでおせっかいだと思ったけれど、声をかけてみた。
『えと、あの、場所が違うって言ってるみたいですよ』
 なんとか訳して、男の人へ。
『場所?』
 はるか高いところからわたしを見下ろす瞳。
『こっちは女性用で、男性用は向こうです』
『それは、女性器用、男性器用ってこと?』
 性器。ぎくりとしたけれど、なんとか答えた。
『そう、です』
 するとわたしを見る彼はまっすぐに目を合わせて、
『あなたは男と女をどうやって区別してる?』
『それは……その……それ、で』
『ほんとに? 性器ってそんなに大事? ほんとに見分けられるもの?』
『だって、わからなかったら困ります』
『あなたは男性? 女性?』
『女性です』
 さらに続けて訊いた。
『じゃあ、寝てる間に手術されて、性器がなくなってたら
自分を男性・女性のどっちに思うとおもう?』
『それは……女性』
『じゃあ、性器が男性のものに変えられてたら?』
『ええ? それは、どうでしょう』
『あなたは初めて会った人の性器に触ることはある?』
『え? ないですよ、そんなの』
『それじゃあ、変じゃない? 性を見分けるのは性器だって言うのに、
性器を触りもしないし、見もしない相手にさえ、
男性・女性の区別をつけられるなんて』
 そういわれれば……たしかにそうだ。
『この国でも、トイレは性器を使う場所でしょ? 
見た目を使う場所じゃない』
『そうです』

『だからわたしは女で、こっちのトイレでいいはずだって
さっきからそこのわからずやに言ってるのに』
 ええ~! この人、おんなのひと?
 指で指してたのはトイレじゃなくて、女性のマークだったんだ。
 そこでわたしはなんとか知ってる単語を並べて
横にいるおばさんに説明しようと試みた。
『えーと、彼は、女性です』
 きょとんとした目。わたしを見て、その人へ。
『あ、彼女は、女性です』
 するとおばさんは大笑い。悪びれることなく笑いながら、
ようやく身振りで許可が出た。
『二人分ね』
 彼女がおばさんにわたしの分までお金を払い、
わたしを先に中へと押した。
『えと……え?』
 見上げるわたしにひとつウインク。
『ありがと、かわいいお嬢ちゃん。
迷子にならないうちにおとうさんのところに戻らなきゃ』
 迷子……?
 もしかして、はたちを超えてるなんて夢にも思ってない、とか?
「見た目って、結構残酷だなぁ」
 わたしはこぼれるため息につぶやいた。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1008

●ばかスッタンダード

 うちのコールセンターにはこんなお約束がある。
・朝の電話は10時37分まで『おはようございます』ではじめること。
・お礼は『おありがとうございます』と言うこと。
・お客さんに質問するときは、『教えてください』と言うこと。

 その他もろもろある内容は、どれも奇妙なことばかりだった。
「なんでこんな変な決まりがあるんですか? 
お客さんから文句が来ません?」
 室長に訊ねると、
「君もすぐわかると思う」
 悲しい顔で答えた。
 そして何日かしたあと、電話対応中の室長が
わたしに激しく手招きをする。
 そばに行って横聞き用の受話器をとると、聞こえてくる不愉快な声。
『だからさ、わかる? 上の名前、下の名前なんか言われたって
こっちはわかんないんだよ』
「それはもうしわけありませんでした」
『もうしわけないじゃねえよ。それを何度も訊かれて
こっちはばかにされた気分なんだよ。
いちいちわけのわかんねえおきれいな言葉使いやがって。
最初の名前、ケツの名前って聞きゃあいいじゃねえか。
次かけたときこんなんだったら許さねえ。
ネットなりなんなりで言いまくって、
会社でもおまえんとこのモノなんか一生買わないようにしてやるからな』
「はい、重々気をつけます」
『ちゃんとしろよ、クソやろう』
 そして投げつけるように電話は切れた。

「なんです? これ」
「自分の思い通りにならないとすぐ文句をつけてくるクレーマーさ」
 やりきれないため息をこぼしながら頭を振る室長。
「普通の人ならあんなこといいませんよ」
「ああ、普通の人ならね。でも、うちらが対応するのには
そんなのはいないんだよ」

 それからさらに数日後。
 コールセンターのお約束にまた一つ加わっているのに気付いた。
・名前を聞くときは、『頭の名前』『ケツの名前』と言うこと。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1007

●目の悪い投票者

 晩ごはんのとき、おとうさんが出してきたたらこ。
 一口食べたとたん、
「なにこれ!? おいしい!」
 わたしは思わずたらこを見つめた。
「ははは、うまいだろ? 今日一番の仕入れだったんだけどな。
一日かけてもほとんど売れなかった」
「ええ? なんで? こんなにおいしいのに」
 するとおとうさんはため息をついて、
「色味が悪くてうまそうに見えないんだってさ」
「ええ? だってたらこって、こうでしょ? 
それに、おいしそうに見えなくたって
実際に食べておいしければいいじゃない」
 わたしの頭に乗る、さかなのにおいのする手。
「おまえは目が利くからな。でも、みんながみんな、
そんな奴ばかりじゃないんだ」

 次の日。
 晩ごはんのときにおとうさんが出してきたのは、
どくどくしい人工色をした たらこの切れ端。
「なにこれ?」
「昨日のたらこを染めたんだ」
「え~、なんでぇ? もったいない」
「ところがすごい勢いで売れてったぞ。
これはおまえに食べさせようと途中で取っておいたんだ」
「へえぇ」
 そんないわれあるものなら、食べてみなくちゃ。
「なんか嫌な味が残るね」
「わかるか?」
 おとうさんはわたしの頭に大きな手を乗せて、やさしく撫でた。
「飾らない素のままがいちばん見た目もいいし味もそこなわないのに、
ごてごてと醜く飾り付けなきゃ、選ぶ気も起きないんだとさ。
……世の中ばかばっかりだ」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1006

●ぼくらの仕組み

 学校からの帰り、駅のホームに下りる階段で
ベビーカーを苦労してたたもうとしている女の人がいた。
 片手には抱いたこども。さらにおなかも大きいようだ。
「よければ下まで運びますよ」
 おれの言葉に女性は顔をあげ、
「え? あ、すいません」
 あわてたように畳もうとする。
「もし下で使うんでしたら、そのままで運べますからいいですよ」
「え? どうもすいません」
 そこでおれは荷物ごと、落とさないように下まで持っていった。
「ありがとうございます」
 本当にほっとした顔で。
 いや、あはは……とかなんとか、応えるでもなく応えて
普段の乗り場所へ歩く。

 と。
「やさしいんだ」
 後ろから声。振り向いたそこには見慣れた制服――というより、
おれの彼女。
「別にそんなんじゃない。ただ、父さんが昔よく言ってたから」
「亡くなったお父さん? なんて言ってたの?」
「『女の人の大きなおなかには、未来と希望が入ってる。
抱えるだけでも大変だから、余裕があるならいたわらなくちゃ』」
「へええ」
 小さく驚いた顔をしながら、甘い甘い笑みをこぼした。
「うん?」
 見つめるおれに気付いて。
「いや。父さんが言ってた。
『女の子は、お砂糖菓子でできている。
かわいくてきれいで甘くて、乱暴にしたらぽきりと折れるんだ。
とびきり甘い子には悪い虫がどんどんやってくるから、
壊れないように食い物にされないように、守らなきゃいけない』」
 いまなら、それも本当かなと思う。
「ふふふ。じゃ、男の人は?」
「『男の体は誇りと信念でできてる。
だからこんなに硬くてゆるぎない。
でも硬すぎると逆におれるから、常に柔軟さももたなくちゃな』」
「ふふふ、かっこいいお父さんだね」
 そう言って楽しそうに笑った。
「でも、言うことはかっこよくても本人はたいしたことなかったけどな」
 低い背にぷよぷよのおなか。
もっちりと握り締めながらおれは訊いたもんだ。
『これはなにでできてるの?』
 すると父さんは、
『おっさんの……いや、中年のたるんだ腹にはな、
食うものも食えず、出すこともできず、
溜め込んできた愚痴に苦労に憤りがつまってるんだ』
 そしてため息。
『だから、もっと優しくしてくれたっていいんだぞ』

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1005

●おしえる

 支払いの督促に向かう若い男と中年男の乗った車は
沈鬱な空気ごと二人を運んでいた。
「はあ」
 のそりと下に落ちていく若い男のため息。
「まあ、そう言わないで」
 運転する中年男が軽くあきらめたような苦笑いで言った。
「だって……こんなこと、しないならしなくていいはずなのに、
なんでやらなきゃいけないんですか」
「しょうがないよ。支払わなくていいなら誰も払わなくなるし、
払った人がばかを見るようなことはやらせちゃいけない」
「それでまたばかげたやりとりですよ。
お金がないから払えないっていうならまだわかりますよ? 
なのに、お金があるのに払わない、払いたくないってなんなんですか」
 ふう、と中年男もため息をつく。
「だから、教えなきゃいけないんだろうなあ。
払うべきものを払わないとはどういうことなのか。
支払いを滞らせるとはどういうことなのか」
「まったく、因果な商売ですね」
 やりきれないように頭を振りながら、若い男は言った。
「教師はこどもたちに勉強を教えるものだと思ってましたよ。
……それが、給食費を滞納する親にまで教えなきゃいけないなんて」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1004

●勉強します

 難しい顔をしたおとうさんがおふろに入ったあと、
テーブルの上に置いたままの紙を見てみると――
「主任登用試験問題……?」
 これに合格したら主任になるんだ!
 わくわくと、写真の横の問題を読んでみる。
『普段24000で売っているこの商品を、
セールで46%引きで売ろうと思う。いくらになるか?』
 その下もそんな問題ばっかり。
 そこでわたしは問題の横に答えを書いておいた。

「ん、なんだこりゃ!」
 おふろから出たおとうさんが声を上げる。
「ふふふふ。こんな問題もぱっとできないようじゃ、
もっと勉強しなきゃねえ」
 そばに行くと、ちょっと困った顔。
「あ~、だめだ、これじゃ」
 振り向くと悲しい顔をした。
「え~、うそだぁ。ちゃんと見た?」
「ああ」

「だって、最初の問題なんか、
24000の46%引きだったら、絶対12960だよ?」
「ところがだ。そんな値段で売ってたら儲けが出ないだろ? 
他の店だと安くて19800くらいだから、
『46%引き!』ってチラシに書いて、18900くらいで売るのが妥当だな。
でもうちだけ安く売って損するのも困るからそこを最低値として、
たぶん……19500くらいで売るのがいいんだろうな。
今はその、『くらい』をいくらにするかを悩んでたんだよ」
「え~。それってなんかきたない……」
 おとうさんはわたしの頭に手を置いて。
「物の価値もわからずにただ勉強しろと言ってくる客には、
それくらいのこともしなきゃいけないのさ」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1002

●会社人

 その日の朝。同じく部署の扉を開ける同僚に声をかけた。
「よう、おはよう」
「おはようございます」
 よそよそしい態度の返事。
「おいおい、いきなりなんの冗談だよ」
 おれの問いに、応える。
「今日から別部署の方ですから」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

ショートショート 1001

●そんなんじゃない!

 会社の休みに友達同士集まって、ちょっとおしゃべり。
「うちの彼がさあ、最近じゃ『わたしのこと好き?』って訊いても、
『うん』しか言ってくれなくて」
 一人の言葉にみんなが深くうなづく。
「わかるわかる。うちんとこもそうだもん」
「あれはないよねえ。女性の気持ちが全然わかんないんだから」
「だよねえ、だからわたし言ってやったんだ」
 腕組みしながら言う友達。
「返事は『うん』じゃなくて『はい』でしょ! って」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

«  | HOME |  »

 

プロフィール

甘音(あまね)

Author:甘音(あまね)
めざせショートショート1050本!
いつだって全力疾走なのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する