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文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2008-01

ショートショート 412

●どうせ信じない

 わたしの部屋で友達とテレビを見ながらの夕食。
見るのはちょうど特番でやっている超能力番組。
 ばかばかしいと言われても、なぜだかついつい見てしまう。
『なんと、この子たち、透視能力があるそうです』
 特殊能力学校の中、テレビの女性がわざとらしく言った。
 横にいる通訳が何か言い、
その人が書いたものを透視する流れになると、
『では、裏が透けない紙に書いたものを、
この子に見えないようにして封筒に入れました』
 大きめの封筒をひらひらと振り、
『じゃあ、これがどう見えるのか、透視してもらいましょう』
 透視の成績が一番いいというこどもの前に封筒が差し出され、
透視が始まる。

 そこでCM。いらいらと終わるのを待っていると、
こどもが図形を書き上げた。
『こんな、感じ』
 紙に書いたのは三日月。
「あ、ばか」
 友達がつぶやく。
『うわ~、おしいですよ。わたしが書いたのは、
太陽のつもりだったんですけど』
 女性は封筒を開け、中から二つ折りの紙を取り出して、
開いて見せた。
 書いてあったのは、三日月ではない、丸。
『あ、でも、だいたい似てますよ。
ここらへんの長いところなんてかなり近いですよね?』
「ほんとだ……」
 欠けさえなければ丸になったのに。
 もしかしたら、全体的な雰囲気みたいなものは
ほんとに見えていたのかもしれない。

「ばっかばかしい」
 友達がにくにくしげにつぶやいた。
「え?」
 振り向くと立ち上がり、
そこらへんにあった紙に何かを書いてわたしの前に置き、
「ねえ、この線、何センチくらいあると思う?」
 紙に書いてあるのは、ただの線。
「うーん、5センチ……くらい?」
 わたしが答えると、
「あ~、残念。倍以上長そうですねえ」
 紙をもちあげ、裏に折りたたんである部分を開いた。
「あ、でも、はじっこの部分なんてかなり近いですよね?」
 だれかの真似をするように、いやらしい口ぶり。
「ずるいよ、裏があるならそういってよ」
 わたしが言うと、
「だってあの女、『なにを書いたか』じゃなくて
『これがどう見えるのか』って訊いたじゃない」
「え?」
 わたしは思わず紙に円を書き、二つに折って明かりに透かした。


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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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