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文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2008-07

ショートショート 536

●営業担当と飼い犬

 休日の川原で、会社で営業担当の男が飼い犬と戯れていた。
「ほーら、今日はいいものがあるぞ」
 男が紙袋を開ける前からその中身に心を奪われていた犬は、
ようやく取り出されるものに半狂乱して自分に与えられるのを待った。

「これはおれが苦労して苦労して
ようやく手に入れた肉付き骨だ。肉もまだたっぷりついてるし、
なによりでかいだろう?」
 目の前で見せびらかすと、犬はよだれを撒き散らしてその時を切望する。
「ははは、欲しいか。欲しいだろう? 
おまえは会社のばかどもと違って正直でかわいいな。
欲しいなら欲しいって言えばいいんだ。
なのに文句ばっかりぬかしやがる」
 一人愚痴て骨を握り締めると、
彼は力の限りにそれを上のほうに向かって投げた。
「さあ、欲しいなら受け取れ!」

 丸投げされた骨は大きな放物線を描き、犬が追う先、
はるか川の真ん中に落ちる。
「あははは。相変わらずコントロール悪いな、おれ。
ほら、どうした? 欲しいなら取りにいけよ。
会社の連中ならこれくらい難なく取りに行くぞ」
 頭に載せられる手に噛み付く犬。
「な、なにすんだ!」
 だが犬は牙をむき出し、低くうなると――
 男の喉元に向けて飛びかかった。


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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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