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文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2008-12

ショートショート 663

●仮面

 教科書を読んでいたら、10という文字が突然紙から起き上がり、声を出した。
「よう。おれがなにかわかるか?」
「なにかって……十でしょ?」
 にゅっと延びた手、白い指を振り、
「ところがそうともかぎらないんだなあ。
こう見えても2かもしれないし、8かもしれない。
見たまま10かもしれないし、意外と12か16かもしれない」
「え? え? だって、10は十でしょ? みかんが十個」
「そりゃ十進数の場合だろ。二進数なら、0、1、10」
「え? え? え? 10なのに、2?」
「八進数なら0、1、2、3、4、5、6、7、10。十二進数なら……」
「ま、待って、待って、やめて。10は10でしょ?」
「それは君の目、十進数の目で見たおれさ。
他の人から見れば、おれだって2や4や6や8や13だったり
するかもしれないんだ」
「う、うそ! やめてやめてやめて……」
 と、突然の地震。
 ぶ?
 ……いじょうぶ?
「だいじょうぶ? おきて、おきて」
 んむ?
「あ、起きた~」
 お姉ちゃんの声。
「だいじょうぶ? ずいぶんうなされてたけど」
「あ、うん」
 思い出す、夢の中身。
 思わずおねえちゃんをじっと見た。
「どうしたの?」
 まごついたように笑う顔に。
「おねえちゃんって……ほんとにおねえちゃん?」

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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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