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文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2009-04

ショートショート 735

●ちいさな

 夏休み。自然公園で遊ぶこどもたちの
お目付け役のボランティアをやってみることにした。
 まあボランティアといえば聞こえはいいし、
お目付け役といえば偉そうだけど、中身のほとんどは
こどもと一緒に遊ぶだけ。
 けれどこれがとにかく体力勝負で、
2日目にはすでに昨日の疲れも抜け切らずに、ぐんにゃりと開始を迎えた。
「おい、メガネ!」
 下からの声に目を向けると、いたずらっぽい笑みの女の子。
 ぞんざいな言葉の裏に、ちょっとからかってやろうとか
そんな意図が透けて見える。
 ……ふふふ、かわいいな。
「はーい、なに?」
 ぼくの言葉に小さなとまどい。でもそれを悟られないように、
「か、かたぐるま!」
 ぶっきらぼうに言ってみせる。そんな一つ一つが
全部ばればれなのもまたかわいい。
「なに、昨日の気に入った?」
 背中を向けてしゃがむと、肩に足を乗せてくる。
「すこしだけね」
 その足をしっかり押さえて立ち上がると、
「わ、ちょっと待って」
 舌足らずの声。軽い体。
「ははは、だめ~」
 まずは軽く小走りに。
「こら、止まれ。怖いこわい」
「あはははは」
 そんなこんなで遊んでいると、いつのまにそんな時間が過ぎたのか、
「メガネくーん、そろそろお昼にしよう」
 本物の監視員のおばちゃんだ。
「あ、はーい」
 応えるぼくの声を覆うように、女の子が不機嫌な声を出した。
「メガネじゃないよ。ちゃんと名前あるでしょ!」

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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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