ショートショート 773
●おぼしめし
わたしの健康診断の結果が出たあとの九月の晴れた日、
おじいさんが亡くなった。
連絡をもらい、慌てて会社から帰って
お葬式のための準備をしていると、おかあさんが、
「健康診断で異常出たんだし、もっとゆっくり休みなさいって
おじいさんも言ってるんだよ」
自分のおとうさんを亡くして一番悲しんでるはずなのに。
「……うん、そうだね」
忌引きも、この際有給も使っちゃおう。
旅行用のかばんを久しぶりに引っ張り出すと、一番上にはパスポート。
「あ、パスポート、もう期限切れてた」
わたしの言葉に、
「きっと、この機会に作りなおしなさいっておじいさんが言ってるんだよ」
おかあさんは言った。
ふと、かつかつと床を小さなものがたたく音。
のぞいてみると、床を転がる白い玉たち。
おかあさんの手にはいくつかの玉と、ネックレスのひも。
目をほそめておかあさんは言う。
「きっと、この機会に修理しなさいっておじいさんが言ってるんだね」
わたしの健康診断の結果が出たあとの九月の晴れた日、
おじいさんが亡くなった。
連絡をもらい、慌てて会社から帰って
お葬式のための準備をしていると、おかあさんが、
「健康診断で異常出たんだし、もっとゆっくり休みなさいって
おじいさんも言ってるんだよ」
自分のおとうさんを亡くして一番悲しんでるはずなのに。
「……うん、そうだね」
忌引きも、この際有給も使っちゃおう。
旅行用のかばんを久しぶりに引っ張り出すと、一番上にはパスポート。
「あ、パスポート、もう期限切れてた」
わたしの言葉に、
「きっと、この機会に作りなおしなさいっておじいさんが言ってるんだよ」
おかあさんは言った。
ふと、かつかつと床を小さなものがたたく音。
のぞいてみると、床を転がる白い玉たち。
おかあさんの手にはいくつかの玉と、ネックレスのひも。
目をほそめておかあさんは言う。
「きっと、この機会に修理しなさいっておじいさんが言ってるんだね」

