ショートショート 797
●魂の場所
火葬場の控え室で呼ばれるのを待っている間、
お年を召した親戚たちは次に誰が死ぬか、という話題で
一種異様な盛り上がりを見せていた。
「順番から言ったらおれだな」
くぐもった声のおじいさん。
「あいつにさびしい思いをさせるわけにもいかんし、
長男として早く行ってやらにゃ」
冗談めかしてはいるけれど、冗談ではないようだった。
それは死への怒りでもあり、悲しみでもあり、
都合も思惑もお構いなしに翻弄される生への諦めでもあるのだろう。
「いいんですよ。父はきっと、先に行ったわたしのきょうだいたちと
一緒に暮らしてますから」
母の言葉に、亡き祖父を思う。
親子で一緒に過ごしていて、
そこにきょうだいが来たらどうするのだろう?
家族とそのまま一緒にいるのだろうか、
それとも一緒にいるために来たきょうだいと過ごすのだろうか。
そっと耳打ちしてみると、
「向こうなら、きっとそんなの関係ないのよ」
母は言い、わたしはただ、幸せであればいいなと、祖父を想った。
火葬場の控え室で呼ばれるのを待っている間、
お年を召した親戚たちは次に誰が死ぬか、という話題で
一種異様な盛り上がりを見せていた。
「順番から言ったらおれだな」
くぐもった声のおじいさん。
「あいつにさびしい思いをさせるわけにもいかんし、
長男として早く行ってやらにゃ」
冗談めかしてはいるけれど、冗談ではないようだった。
それは死への怒りでもあり、悲しみでもあり、
都合も思惑もお構いなしに翻弄される生への諦めでもあるのだろう。
「いいんですよ。父はきっと、先に行ったわたしのきょうだいたちと
一緒に暮らしてますから」
母の言葉に、亡き祖父を思う。
親子で一緒に過ごしていて、
そこにきょうだいが来たらどうするのだろう?
家族とそのまま一緒にいるのだろうか、
それとも一緒にいるために来たきょうだいと過ごすのだろうか。
そっと耳打ちしてみると、
「向こうなら、きっとそんなの関係ないのよ」
母は言い、わたしはただ、幸せであればいいなと、祖父を想った。

