ショートショート 809
●個人絶対尺度
「いつも迷うんだけどさ」
初詣の行列にもまれながら友人が言った。
「お賽銭っていくら入れればいいんだろな」
「そりゃ、おまえ」
おれは答える。
「自分が神様になった気で考えてみろよ。
金持ちがケツ拭いても困らないような札をへらへら笑いながら
投げ入れて願うのと、小さなこどもが小遣いの中から
ひねり出した硬貨を大切に入れて願うのと、
どっちが価値あるものだと思う?」
「それなら、こどもだなあ」
「だろ? おまえが願うのが自分にとってどれだけ重くて、
その重さは財布にとってどれだけの重さなのか。
よく考えてつりあうように入れればいい」
「そうか……」
財布を開いて、札にしようか硬貨にしようかと
頭をひねる友人に付け加えた。
「まあ、いくら払ったって、絶対かなえちゃくれないけどな」
「いつも迷うんだけどさ」
初詣の行列にもまれながら友人が言った。
「お賽銭っていくら入れればいいんだろな」
「そりゃ、おまえ」
おれは答える。
「自分が神様になった気で考えてみろよ。
金持ちがケツ拭いても困らないような札をへらへら笑いながら
投げ入れて願うのと、小さなこどもが小遣いの中から
ひねり出した硬貨を大切に入れて願うのと、
どっちが価値あるものだと思う?」
「それなら、こどもだなあ」
「だろ? おまえが願うのが自分にとってどれだけ重くて、
その重さは財布にとってどれだけの重さなのか。
よく考えてつりあうように入れればいい」
「そうか……」
財布を開いて、札にしようか硬貨にしようかと
頭をひねる友人に付け加えた。
「まあ、いくら払ったって、絶対かなえちゃくれないけどな」

