文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-09

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ショートショート 1008

●ばかスッタンダード

 うちのコールセンターにはこんなお約束がある。
・朝の電話は10時37分まで『おはようございます』ではじめること。
・お礼は『おありがとうございます』と言うこと。
・お客さんに質問するときは、『教えてください』と言うこと。

 その他もろもろある内容は、どれも奇妙なことばかりだった。
「なんでこんな変な決まりがあるんですか? 
お客さんから文句が来ません?」
 室長に訊ねると、
「君もすぐわかると思う」
 悲しい顔で答えた。
 そして何日かしたあと、電話対応中の室長が
わたしに激しく手招きをする。
 そばに行って横聞き用の受話器をとると、聞こえてくる不愉快な声。
『だからさ、わかる? 上の名前、下の名前なんか言われたって
こっちはわかんないんだよ』
「それはもうしわけありませんでした」
『もうしわけないじゃねえよ。それを何度も訊かれて
こっちはばかにされた気分なんだよ。
いちいちわけのわかんねえおきれいな言葉使いやがって。
最初の名前、ケツの名前って聞きゃあいいじゃねえか。
次かけたときこんなんだったら許さねえ。
ネットなりなんなりで言いまくって、
会社でもおまえんとこのモノなんか一生買わないようにしてやるからな』
「はい、重々気をつけます」
『ちゃんとしろよ、クソやろう』
 そして投げつけるように電話は切れた。

「なんです? これ」
「自分の思い通りにならないとすぐ文句をつけてくるクレーマーさ」
 やりきれないため息をこぼしながら頭を振る室長。
「普通の人ならあんなこといいませんよ」
「ああ、普通の人ならね。でも、うちらが対応するのには
そんなのはいないんだよ」

 それからさらに数日後。
 コールセンターのお約束にまた一つ加わっているのに気付いた。
・名前を聞くときは、『頭の名前』『ケツの名前』と言うこと。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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