文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-07

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ショートショート 126

●いいぶん

「……えー、であるからして、
えー、この点について規制できるようになったということで、
えー、これは意義深いものになったわけですね」
 あらぶる鬼をもむりやり寝かせるような、教授の言葉。
 うとうとと右から左へ流していると、
激しく携帯電話の鳴る音がした。

 あーあ、なにやってんだよ。
こうなるとあのじじい……
「えー、どこです。携帯なんか鳴らしてるのは!」
 あ~、やっぱり。
「でていきなさい」
 静まり返る教室。だれも動こうとはしない。
「いないわけないでしょう。出て行きなさい」
 仕方なく、といった調子で一人の女が立ち上がり、
ドアへと向かった。
 教室にいるだれもがその様子を息を殺して見ていた。

「まったく」
 ぼぶっとマイクを叩くため息まじりに教授がつぶやく。
「私語は慎みなさい、携帯電話はやめなさい、
言ってわかったかと思えば静かなのはお昼寝中。
幼稚園児の集まりですな。
昔の若者はこうじゃなかった。勉強する気概があったのに」
 むかっとして、
「昔の教師も、もっと教える気概があったと思いますがね」
 思わずおれは叫んでいた。

「だれですか。どういうことですか」
 あたりを見回す教授に、おれは立ち上がる。
「先生は、教える勉強ってしたことあります? 
抑揚もないしゃべりで自分の専門だけを、
自分にだけわかりやすいようにだらだら流して。
そんなのでだれが興味を持ちます? 
あなたは教えを授けるなんて肩書きに値しない、
ただの研究者です。それで教師を気取るなら、
教えるということをまじめに学んでいる教師に失礼です」

 どっ、と音を立てて教室がわいた。
あたりから拍手や歓声があがった。
 あのじいさんだけにさぞかし怒るだろうと思っていると、
「うん、若者ですな」
 にっと笑って満足そうにうなづいた。


テーマ:超短編小説 - ジャンル:小説・文学

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