文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2017-09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ショートショート 141

●抱き合わせ

「さあ、追い詰めたぞ」
 剣を構える男たちの中、
手ぶらの若い王子が言った。
 その向かいには主君をかばうように立ちふさがる男と、
弱々しく頭を抱えてうずくまる、若いと言うよりは幼い王。

「果たしてそうかな? 
この身を捨ててあなたを殺すくらいたやすいこと」
 両手で剣を構えなおす男に、若い王子は言った。
「お前ほどの男なら、この状況がわからないでもあるまい? 
わたしを殺せばこの者たちがお前を殺し、
その間抜けな王は切り刻んで殺す」
「くっ」
 片手を剣から離し、後ろの王をかばうように手を伸ばす。

「なぜそこまでこだわる? 
その男、それほど値があるとは思えんが」
「父の命をお救いくださった先代への恩義。
それを裏切るわけにはいかん」
 王子は楽しげに口元をゆがませ、言った。
「ますます気に入った。おまえはわたしの元に来い!」
「な、なにを……」
「自分でわかっているはずだ、おまえがどこにいるべきか。
わたしとともにあるならば、王の命は約束しよう。
おまえは自分の身を捨てて、王を救うのだ!」
 謳うように差し出した手。懐から何かが落ちた。

 床に落ちたのは、豪華なおまけに
貧相なチョコレートのついたお菓子の箱。
 王子はそれを拾うと懐に戻し、
軽く咳払いをして改めて手を開いた。
「さあ、来い! おまえも王も、わたしが守ってやる!」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://fumikurifumikura.blog73.fc2.com/tb.php/169-58b90bee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

FC2Ad

 

プロフィール

甘音(あまね)

Author:甘音(あまね)
めざせショートショート1050本!
いつだって全力疾走なのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。