文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-09

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ショートショート 242

●差別と平等

 週末。教育実習に行っている友達から電話がかかってきた。
 クラスのことや、授業のこと。いつも気丈な友達の愚痴。
「でもいいね、最近の子って。
クラスもずいぶん少人数になったんでしょ?」
 わたしが言うと、
「ところがですよ。問題は生徒の人数じゃないんだなあ。
なんだと思う?」
「え? なんなの?」
 ききかえすと、ひとつため息。

「たとえば普通のとき普通に振舞える子なら、
何十人いたって平気。でもそこに、
授業中に騒いでみたい子が一人入ると、
それだけでもうすべてがむちゃくちゃ。
教室の空気が、その子をうっとうしく思うような
しらけた感じになるのが痛いほどわかるんだよ」
「へえ~」
「クラスからその子を抜いてくれるだけでうまく行くのに、
それは差別だって言う。
でも、クラスの授業に合わないと認められた子は、
別の教室で先生がつきっきりで丁寧に教えて。
勉強がわからないからおもしろくなくて、
おもしろくないからやらないでさらにわからなくなって。
……その子だって、そうやって教えられたら
すごく伸びるのかもしれないのに。
運動会で競争すらさせないっていうような
エセ平等ばっかり振りかざしてるから、
差別と区別の違いもわからなくなるんじゃない。
真の平等がなんなのか、
はじめっからこどもたちに教え込ませたいよ、わたしは」

「へえ、なんなの?」
「完全な個別主義。トイレにしても健康診断にしても
電車にしても、男女で分けるんじゃなく、個別。
生徒一人一人に一教師。
徹底した差別化こそが、真の平等になるんだ。
でもそれにはどれだけ手間とお金がかかるか……。
そんなのできるわけないじゃない。
世の中なんて差別以外になにもないって」
「でも、がんばるんでしょ? ずっと目標にしてたんだもんね、先生」
「だからこそ、やめた」

「ええ? どうして?」
 驚いて訊ねると、
「そのうち、教師が障害者でも雇うような体制になったら、
そのときにこそ応募するよ」
 大好きな友達は、静かに口にした。
 いつか、幸あれと。わたしには願うだけしかできなかった。


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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