文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-09

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ショートショート 249

●あましょく

「はらへった~」
 ざしゅ。
「水飲みてえ~」
 ざしゅ。
 はるか広がる砂の上を、
一人の若者と三人の中年男性が力なく歩いていた。
 一歩ごとに同じ言葉を繰り返す若者に対し、
中年男性たちは言葉すら出せないほど疲れきっていた。

「いまさらこんなことを言うのはなんですけど」
 中年の一人が張り付くのどから声を出す。
「わたし、甘食ならもってますよ」
 肩に提げたポーチから、がさがさと袋を取り出すと、
「よこせ!」
 若者はその袋に飛びつくようにして奪い取り、走り出した。
「やめろ! 一気に食べるな!」
 中年たちは口々に叫んだが、
「うるせえ! 遭難してから二日も食ってねえんだ」
 走りながら袋を開け、口の中にひとつを丸々押し込んだ。

 そのとたん、
「ん……もふっ!」
 足が止まり、若者は砂地に両手をつく。
「う、ぼほっ。む……むぶ……!」
 ごほごほとむせる彼。
中年たちは同情を浮かべた目で見つめる。
「むぶ……」
 彼の頭がゆらぎ、砂の中にどさりと倒れた。
「さすがに甘食は、飲み物なしじゃ食べられんよ」
 中年の一人がつぶやいた。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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