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文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2020-05

ショートショート 273

●目の大きいザル

 今日は友人の結婚式。
バイト先でつかまえた年下の彼女ととんとん拍子で結婚。
正直こんなとこなんて来たくなかったけれど。
 披露宴がはじまるまでの間テーブルについて
ぼんやりしていたら、テーブルの向かいに
同い年くらいの男が座った。
 見るからにまじめっぽく、
どうにもモテそうにない同類のにおいがした。
「あいつの友達っすか?」
 訊ねるとすこし戸惑う雰囲気を見せて、
「えーと? お嫁さんの、知り合いです」
「へえ~。いいっすね。
知り合いはみんな男ばっかで友達だからって、
正直喜べないですよ」
 相手は軽く肩を寄せると、
「友達だから、悔しかったりしますよね」
「ああ、それそれ!」

 さすがにそこまで言えなくて
やめたことを言われて思わず笑う。
「いいっすよね、なんであんな子と知り合えるんだろ……。
いっぺんくらいもてたっていいじゃないっすかねえ」
「うーん」
 苦笑いの男。
「機会の差でしょうね、きっと。
大勢にもてはやされなくても
たくさんの人と出会って時間をすごしていれば、
どんなに目の大きなザルにもひっかかってくれる一粒は
ほんとにあるものなんですよ」
「へえ~? そんなもんっすか?」
 と、男の後ろに女の子。

「せーんせっ。始まる前にみんなで写真撮ろうって」
 男の首に抱きついた。結構年下に見えるが、
冗談じゃなくかわいい子だ。
「こら、人前で先生はやめなさい」
 立ち上がりながら声をひそめる言葉に、
悪びれることなく小さく舌を出す。
「じゃあ、ちょっと失礼します」
 会釈に会釈を返すと、腕に絡む女の子に
引っ張られるようにその男は歩いて行った。
「先生、か……」
 つぶやくと。
「ん? どうした?」
 トイレに行っていた友達が後ろにいた。
「ん~」
 遠くに歩いて行く二人の背中を見ながら。
「おれ……先生になろうかな」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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