文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-10

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ショートショート 292

●陽を浴びて輝く

「ほら見ろよ」
 教室で友人が指差すほう。
バカ女二人がすごい顔でどこかをにらみながら
ぼそぼそとろくでもない言葉を吐き出している。
 その視線の先。おれの幼馴染が
モテる男と楽しそうにしゃべっていて、
どうやらあの二人はそれが気に入らないらしい。
「あ~あ~、やだねえ。恋する女は醜くて」
 友人は軽くため息をつきながら言った。
「そうでもないのもいるけどな」
 おれは笑う幼馴染を眺める。

「なあ、おまえさ。好きな奴っているんだろ」
 帰り道、一緒に歩きながら訊ねると、
「うん、いるよ」
 すこし視線を落とし、はにかみながら口にした。
「昔から思ってたんだけどさ、なんでそうやっていられるんだ?」
「え?」
 おれを見て、やわらかそうな髪がさらりと流れる。
「他の女はさ、だれかが気に入ってる奴と話すだけで
すごい顔するのに、おまえがそういう風にするのは
見たことない。しっととかやきもちとか、
そういう……なんだろ、暗い情熱みたいなもんはないのか?」
「ん~、どうかな」
 上を向いて考える、すっきりとした横顔。

「ある、たぶんあるよ」
 振り向くと、それでも陰もなく笑った。
「でもわたし、そんなところで止まっていたくない。
またあの人と会えたとき、目を止めてくれる自分になりたい。
あの人を前にしても、誇れる自分でありたい」
 胸に手をあてて、細めた目でどこかを思い見る。
「それに……」
 おれに振り返ると、見たこともない笑顔でふわっと笑って、
「たとえ立つ場所や何かが違っても、
同じ年になったとき、あんな人になっていたいと思うんだ」
 胸が高鳴って、そして引き裂かれて。
 こんな顔をさせる『あの人』を、
おれは心から憎く思った。
そして、こんなまっすぐなまぶしい人を前に
暗くゆがむ自分がとことん情けなく思えて、
おれはうつむいた顔をあげることはできなかった。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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