文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-07

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ショートショート 322

●もてあます自由

 中学校の教育実習で。
黒板に軽い説明を書いていると、後ろから声がした。
「せんせー、それ、書くの?」
 何を言っているんだろう?
 わたしは振り返って言う。

「書きたかったら、書いてください。
書きたくなかったら書かなくて結構です」
 どうせ同じことを話してるんだし、
聞いて理解できるなら書かなくて充分。
書かなくたって、話をきかなくなっていい。
ただ、ちゃんと聞く人の邪魔さえしないでくれれば、
わたしはそれ以上求めないから。
 でも、
「じゃあ、おれ書かねえ~」
 どこか得意げに男の子が叫んだ。
 むかっとする胃のあたり。
 書かないなら書かなければいい。
それは自分の自由だと思う。
なのになぜそれを口に出さなきゃいけないの?

 それから、別の声。
「先生、どこに書くの?」
 どこに書く!?
 なんだか頭がぐらぐらしてきて、わたしは教卓に手をついた。
「どこに書いても結構です。書きたいところに書いてください」
 わたしが生徒なら、先生がいちいちノートを覗き込んで、
これはここにこう書けなんて言われるのには耐えられない。
 個人には個人の自由があるし、その人のやりかたがあるはず。
他人の迷惑にならないことなんて、自分の好きにすればいいじゃない。
 けれど、さらに追い討ち。
「せんせー、いいかげん~!」
 ざあっと音を立てて血が引く頭。
 なぜだかすこし、涙が出た。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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