文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-08

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ショートショート 356

●その場探偵

「ああ、まただ」
 小さい事務所の中、年配の男性が声を上げた。
「だめだ。スイッチ入れても動かないよ」
 机の上においた、パソコン本体の電源をかちゃかちゃと押す。
「さわらないで!」
 それを見ていた若い女性が叫んだ。

「現場は保全してください。これは、事件です。
このフロアのパソコンは外部LANにはつながっていません。
メディアの持ち込みも基本的に禁止ですし。
つまり、これは内部の犯行……。犯人は、この中にいます!」
 どーん。口で効果音を出しながら指差すパソコン。
「そういや、キミは探偵モノが好きなんだっけな」
「このマシン、死ぬ前になにかおかしな動作は?」
 真剣な顔で聞く女性に、男性は思い返し、
「うーん、そういえば、ぼちぼちと
いきなり電源が切れたりはしてたかな」
「まさか……!」
 女性はパソコンの前に行くとスイッチに触れた。

 ピポ。
 軽い音がしてパソコンが動き始める。
「お、動いた」
 喜ぶ声を上げる男性を尻目に、女性は後ろに手をかざし、
青い画面のモニターをにらみ、そして、電源を落とした。
「ふっふっふ、わかりましたよ、犯人が!」
 その場かぎりの探偵もどきは一同を前にサテと言い、
「このパソコンを殺した犯人は……」
「動いたじゃないか、さっき」
 がっくりと肩を落とす。
「違うんですよ~。このままじゃまたいきなり電源がおちるはずです」
「そうか、すまんすまん。で、犯人は?」
 女性はこほんと咳払い。
「犯人は、CPUファンです!」
「な、なんだってー!」
 CPUファンってなに、と言いかける声を覆うように、
「CPUファンさん……あなた、自分の仕事をさぼったでしょう。
稼動時は常に冷やしておかなければいけない
CPUへ風を送るのをやめるようになった。
その結果、CPUは自身の熱を散らしきれずに危険温度まで達し、
安全装置により勝手に電源が切れた……とこういうわけですよ。
事実はいつだって一つ!」
「おおー!」
 ぱちぱちと拍手が起こる。

「で、なおせるの?」
 訊かれた女性はきょとんとし、
「え? 無理無理。探偵は犯人を見つけるまでが仕事です」

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