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ショートショート 497
●モノサシ
定年退職を向かえ、久しぶりの友人が訪ねてきた。
「どうだい、調子は」
「今まで毎日仕事に向かっていた時間を家で過ごしてるなんて、
正直手持ち無沙汰だよ」
そう言うわたしに、
「おまえも趣味をもてばいいんだよ」
奴はそう言って笑った。
「なんだ、なにかやってるのか?」
訊ねると、得意げな笑みを浮かべ
胸ポケットからタバコの箱を出した。そのフィルムの間には写真。
「ほら、こういうのを作ってるんだ」
そこに写っているのはタバコの箱と、
それと同じくらいの大きさの人形。
「ほおぉ」
わたしは思わずうなった。
「すごいな、これは。こんな小さいのに着物まで着て、
まるで人間みたいなべっぴんさんだ。こんなのが作れるものなのか?」
「はははは」
奴はくわえたタバコに火をつけて。
「いいだろう? おれが作ってるのはタバコの箱。
そっちはほんとの人間さ」
定年退職を向かえ、久しぶりの友人が訪ねてきた。
「どうだい、調子は」
「今まで毎日仕事に向かっていた時間を家で過ごしてるなんて、
正直手持ち無沙汰だよ」
そう言うわたしに、
「おまえも趣味をもてばいいんだよ」
奴はそう言って笑った。
「なんだ、なにかやってるのか?」
訊ねると、得意げな笑みを浮かべ
胸ポケットからタバコの箱を出した。そのフィルムの間には写真。
「ほら、こういうのを作ってるんだ」
そこに写っているのはタバコの箱と、
それと同じくらいの大きさの人形。
「ほおぉ」
わたしは思わずうなった。
「すごいな、これは。こんな小さいのに着物まで着て、
まるで人間みたいなべっぴんさんだ。こんなのが作れるものなのか?」
「はははは」
奴はくわえたタバコに火をつけて。
「いいだろう? おれが作ってるのはタバコの箱。
そっちはほんとの人間さ」
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