文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-11

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ショートショート 541

●料理のさしすせそ

 おれのために料理を作ってくれるという彼女の後ろ、
なにやら魔法のように食材がいろいろ姿を変えていくのを観察する。
 もちろん一番の対象は食べ物よりも彼女だ。
普段見ることのない彼女の姿がなんだかとても愛しい。
 そんなおれに気づいたのか、
「ね、料理のさしすせそって知ってる?」
 振り向くと照れたように笑って言った。
「ああ、もちろんだ」
 あの光景は一度見たら忘れられるものではない。

 見学に行った醤油工場、木の香りのする樽の前、
屈強な男たちが偉そうな男の前に整列して叫んでいたあの言葉。
『きさまら、料理の基本はなんだ!』
『醤油! 醤油! 醤油!』
 つばを散らし、躍動する男の筋肉。
『ならば、料理のさしすせそはなんだ!』

「さいしこみしょうゆ、しろしょうゆ、すじょうゆ、
せうゆ、ソイソース、だろ」
 自信に満ちた回答に、
「そんなにしょうゆばっかりじゃ、体に悪いよ……」
 逆に驚いたのはおれのほうだ。
「なに? まえ一緒に工場に入ったとき、筋肉男たちが叫んでたぞ」
 すると、はっと気づいた顔をして。
「ごめん。おとうさん、ああいう冗談好きだから」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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