文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2017-09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ショートショート 552

●持ってない

 修学旅行のバスの後ろのほう。
大半がもてない男子のバカ話がきこえてきた。
 はじめはまったく興味の無い話だったけれど、
彼女にするなら譲れないものという話題が出て
わたしはこっそり耳を傾ける。

「おれはムネがでかいのがいいな」
 まっさきに口を開いた男子。
ああ、いるいる。体だけ目当てみたいなの。
「おれはかわいい子がいい。きれいより、かわいいのがいいよな」
 あ~、とか声をもらしながら
周りがうなづいているみたいだった。
「おれは絶対ちっこい子だな」
 なんだ、ロリコンか。……ちがう、背だ、背!
 そんなやりとりが聞こえてくる。
「おれは、趣味とか好みとかが同じのがいいな」
 ああ、それならわかる。
おなじものを一緒にやれたら楽しいもんね。
「おまえは?」
「ん~。実感わかないし、よくわからないけど」
 あ、この声……。

 わたしは息を殺して続く言葉を待った。
「おれは、おれのことを好きなひとがいい」
「安い!」
 瞬間に周りからあがるつっこみの声。
「な、なんだよ。どんなにかわいくたって趣味が同じだって、
こっちのこと好きでもなかったらなんにもならないだろ」
 それはそうなんだけど。
 わたしは心でつぶやいた。
 みんなそれを前提にして、
その上で何が欲しいか言ってるんだよ、たぶん。
 ……そんなこと思いもしない彼が、
なんだかいっそういとしく思えた。


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://fumikurifumikura.blog73.fc2.com/tb.php/581-c723dcb0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

FC2Ad

 

プロフィール

甘音(あまね)

Author:甘音(あまね)
めざせショートショート1050本!
いつだって全力疾走なのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。