文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-08

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ショートショート 579

●文化圏

 会社の人と乗り合わせて、旅行へ向かう車の中。
 夜の空気に合わせるように怖い話を誰かが始めた。
 幽霊、おばけ、車の陰……。
 どうしてみんなが楽しそうにしてるのかわからない。
耳をふさいでもう帰りたくなってきた。
「あ、そうそう。そう言えばこんな話」
 うう、もういいよぅ……。
「ある人が残業帰りの道で、変な音を聴いたんだって。
気になって見に行くとその音は神社の境内から……。
不安を感じながらも近づくと、白い着物を着た女が
木に何かを打ち付けていたらしい。
あまりの怖さにその場は思わず逃げ出し、
それでも翌朝見に行くと、木に打ち付けられた形代には
自分の名前。次の日、真夜中にこっそり見に行っても
やはり見覚えのない女が鬼気迫る顔で釘を打っている」
 そんなのに本当に遭遇したら怖いなあ。
「その人は自分が呪われていると悩みに悩んで……
ついには死んでしまったそうだ」
 いやぁああ~。
「あはははは!」
 なぜかどっと笑い声。

「え? なんでそこで笑うの?」
 思わず訊ねると逆に驚いたような顔で、
「基本的に呪詛は誰かに見られちゃいけないだろ? 
特に人は鏡なんだし」
「え? え?」
 よくわからなくて聞き返すと、前から声。
「人って、自分の評価は他人の振る舞いを元に
理解してるのはわかる? 他人に誉められたら『いい人の自分』、
他人が嫌がるから『価値のない自分』」
「あ、うん」
「他人は自分を映す鏡なんだよ。
それが呪いをかけるなんてことしてる姿を映されたら、
その呪いは失敗、ヘタすれば
自分に反射しちゃうようなものじゃない」
 へえ、そういうものなの?
「だから、本来死ぬべきは呪いをかけていたほうで、
目撃したほうが気に病んで死ぬなんてお門違いだったってこと」
「そんなのわかっててみんな笑ってたの!?」
 激しく驚きながらも、笑いって文化なんだなぁ……と
頭の隅でしみじみ思うわたしがいた。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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