文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-07

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ショートショート 587

●限界

 うちのコールセンターにかかってきた電話。
「ああ、もしもし?」
 そろそろ老人と言っても差し支えのなさそうな声だ。
「さっき納豆を食べようとして、
でも食べるときって箸でかき混ぜるよね?」
 ……その人が納豆を何でかき混ぜるかなんて知らない。
別にお箸じゃなくても好きなものでかき混ぜればいいじゃない。
「さあ、わたしには断言しかねますが」
「どうして。納豆食べようとしたら箸でかきまぜるでしょ」
 勘弁してよ。ほんとに何でかきまぜるかなんて知らないよ。
「ええと、では、そうかもしれませんね」
「うん。でさ、それでかき混ぜて、できたから
炊いた飯にのせるわけじゃない?」
 なんでいちいち確認するの? のせるのはあなたの自由で、
それを冷奴に乗せようがそのまま食べようが、わたしは知らない。
「あの~、お話が見えてこないのですが、
何をおっしゃりたいのですか?」
「だーかーらー」
 すこしむっとした声で。

「さっき納豆を食べようとして、
でも食べるときって箸でかき混ぜるじゃない」
「……はぁ」
「それで、できたら炊いた飯にのせるわけじゃない?」
「ええと、そうなのかも知れませんね」
「それをこう、昼飯に食べるよね」
「あの~、お客様? 何をおっしゃりたいかわかりかねますので、
要点をお話いただけませんか?」
 ばかにしたような笑い。
「だから、わかんないかなあ」
 ばかにしたような笑い。
 そんなのわかりません。

「なにをおたずねになりたいのかの要点を
おっしゃっていただけませんか?」
「だから、納豆を~~」
 また同じ話になるのをたしかめ、わたしはとうとう口にした。
「お客様? こちら弊社パソコンの操作案内窓口ですが」

 すると、相手はいった。

「わかってる。だからかけてるんだろう」


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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