文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-08

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ショートショート 051

●さらに考えない人

「いいか、お客様の満足度を高めるためには
どうすべきか、待ってるだけじゃなくて
自分の頭で考えて行動するんだ。
もしわからないことがあったら、
失敗する前に訊きなさい」
 と、新人研修で、ハゲかけのおっさんが言った。

 それから数日で研修は終わり、
疑問に思いはじめたことを訊いてみた。
「あの~、すいません」
「うん?」
「朝十時までの電話には、
『おはようございます』で返すんですよね?」
「うん、そうなってるな」
「朝十時までにおはようと言うことは、
本当に顧客満足につながっているんですか?」
 なにを言っているのかと眉をしかめるハゲに、
おれは続ける。

「それに、十時を過ぎておはようというと、
お客さんは不愉快になるんですか? 
なぜおはようだけ言って、
こんにちは、こんばんは は言わないんですか?」

 するとそいつはあきれたような、
不愉快そうな顔になって言った。
「くだらないこと考えてる間に、
マニュアルにあることだけを
ちゃんと言えるようにしろ。
不満があるならおまえがトップになったときにでも
変えればいいんだ」
 そう言われてはさすがに むっとくる。

 そこで応対資料をひたすら読み返し、
揚げ足を取れそうな部分を発見した。
「ここの、最後の名前確認ですけど」
 おれの顔を映しそうな頭に向かって声をかけると、
その下から顔が現れる。
「これ、資料どおり
『もう一度お名前頂戴してよろしいですか?』って
言っていいんですか?」

 するとそいつは一瞬驚いた顔をして資料をみなおし、
したり顔で口を開いた。
「この資料もだいぶ古くなってるからなあ。
書いてあることを丸呑みするんじゃなく、
疑ってみることも大切だな」
 瞬間、おれは紙の束を床に投げつけた。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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