文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-10

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ショートショート 619

●赤い老人

「そろそろクリスマスだね」
 遊びに来た姪っ子を膝に乗せ、
「もうサンタさん来るのかな?」
 揺らしながら訊ねると、突然じゅるじゅると
目から鼻から口から体液をこぼしながらしゃくりあげ始めた。
「え? どうしたの?」
「サンタさん、やだぁ~」
 こっちまでもらい泣きしてしまいそうなほどの震える声。
「どうして?」
「だって、サンタさんこわいぃ~」
「ええ? なんで、なんで? サンタさん怖くないよ」
 なだめながら訊くと、
「サンタさんって、真っ白な雪の中に、
血をこぼすみたいに真っ赤な服着てるんでしょ?」
「う、うん、まあ……そうだね」
「それで、羽もないのに空を飛ぶ九匹のケダモノを連れてるんだって。
その中の一匹は鼻がマグマみたいに赤くて、動物なのに光るんだって」
 まあ、たしかにそんな話だけど。
「サンタさんは『ほっほう』って低い声で吠える、
小山みたいにおっきくてぶよぶよで、
顔は毛むくじゃらのおじいさん。
煙突とか窓からとかから入れて、こどもが寝てるところに来て、
枕のところに何かを置いていくんだって。
おとなには見えないから、あたしに近づいてきても
おとうさんたちにはどうしようもないって」
 いいながらこみ上げるのか、ずるっと鼻をすすって、
「もし、起きちゃったらどうしよう。
何か変なのがそばにあったらどうしよう……」
 わたしはなだめるように小さな頭を撫でて、言った。
「それ、全部合ってるけど、全部間違ってる。
……だれから訊いたの? そんな話」
 するとその子は、わたしを見て、言った。


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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