文繰文庫 ショートショート ブログ版

フミクリフミクラはショートショートのはっちゃけ文庫。文部科学雀の朝十(朝の十分読書習慣)運動を応援しています

2017-09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ショートショート 731

●メガネを拭いて

 アパートのチャイムが鳴ったのは、真夜中過ぎ、
新しい日が始まるころだった。
 こんな時間に誰だろう? びくびくと扉に近づき、声を出す。
「……はい?」
「ども、こんばんは」
 返ってきたのは、ありえない声。
「どっ、どうしたの!?」
 慌てて鍵を外し、扉を開けると、
「いやあ、来ちゃったよ」
 会いたかった彼がそこにいた。
「来ちゃったって……そんな気楽な距離じゃないでしょ」
「まあ、遠くで心配してるより、こっちのほうが気が楽だし」
「ばか……」
 ぼろぼろと落ちてくる涙。
「知ってる」
 彼はわたしの肩に手を置いて家の中へと導き。
わたしは彼の胸に頭をつけ、わけのわからない想いにただ泣いた。
 あたたかなにおい。頭に触れる大きな手。

 ひとしきり泣きとおすと、
「すっきりした?」
「うん」
 わたしは答える。
「そう、よかった」
 ぼやける姿で笑顔をこぼし、彼はハンカチをさしだした。
「ほら、メガネを拭きな」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://fumikurifumikura.blog73.fc2.com/tb.php/759-7e7d3214
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

FC2Ad

 

プロフィール

甘音(あまね)

Author:甘音(あまね)
めざせショートショート1050本!
いつだって全力疾走なのです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。