文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-09

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ショートショート 796

●脱穀

 火葬が済み、おじいさんのお骨の載った台が運ばれてきた。
 鉄板の上にはお棺を載せたらしい硬そうな金属の枠組みがあり、
その上にも、そして下のほうにもお骨が散らばっている。
 人体標本のように出てくると思っていたのだけれど、
そこにあるものは骨を思わせるだけの白いものだけで。
係の人は、まるで焼肉で金網にこびりついたお肉をはがすように、
上にあるおほねをこそげ落としていく。
もはやそれが人であったと思わせるものはひとつもなかった。

 下にある骨、上にあった骨。
 火に焼かれ、お棺が燃えて、おじいさんの皮膚、
筋肉が焼け落ちて支えきれなくなった頭のお骨や背骨が
下に崩れていったのだと思うと、息をするのも苦しい。
 足も手も指はなく、肋骨すらも残らなく。
あるのは淡い緑に色づいた頭骨の一部と、
根幹の太いところ。それが残ったおじいちゃんのすべて。
 ……けれど。

「お骨、入りきれませんので、順次こちらで砕いてください」
 みんなでお祈りし、お骨の箸渡しをして。
それからおのおの、お骨を直接骨壷に入れるところで、言われた。
 係の人から差し出されるのはすりこぎのような棒。
 ぎくりと体を硬くするわたしたちに受け取る人はだれもいなかった。
 どうするのだろうと思っていると、その人が骨壷につき、
お骨が入れられるたびに突き降ろしていく。
 ――ぼぞっ、ぼぞっ。
 砂糖菓子を砕くような音を立てて粉々になっていくお骨。
 やめてやめてやめて。そんな親の仇みたいにしなくても。
戦時中を生きたからって、闇米の脱穀みたいにしなくても。
 目をそらしても聞こえる音はあくまで軽く、
心に入ればなにより重く。わたしの胸を押しつぶしていった。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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