文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-11

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ショートショート 800

●生命の網

 おじいさんのお葬式が終わり、家に戻って一息。
 短い間にたくさん会った、今まで見たこともなかった
親戚を思い出してみる。……けれど。
「ねえ、最後に手を振ってたおじさんって、
おじいちゃんの弟さんだっけ?」
 おかあさんに訊くと、
「違う違う。あなたから見ておじいちゃんの、三番目の弟の息子さん。
わたしからすればいとこ」
「ええ? じゃあ……」
 メモ帳を出して、小さく家系図。
「こういうこと?」
「う……ん、と。そうだね」
 のぞき込んでうなづく。
「一番目と二番目の人もいた?」
「二番目の人は入院中で……って、その言い方だとわかりにくいかな。
おじいちゃんだって長男じゃないでしょ」
「えええ。じゃあどうなってるの? わかるとこだけでも言ってみてよ」
「え~。わたしも全部知ってるわけじゃないけど」
 聞きながら書き始めると、すぐにメモ帳では足りなくなって、
大きな紙をひっぱりだした。
 わたしやわたしのきょうだい。おかあさんのきょうだい、
そしてそのこども。
 おじいちゃんにおじいちゃんのきょうだい、
そのこどもと、さらにそのこども。
 おばあちゃんにはおばあちゃんのきょうだいがいて、
こどもがいて、またこどもがいる。
 紙は、それだけでいっぱいになってしまった。
「はは、楽しそうなことやってるな」
 後ろを通るおとうさんの声。
「実はうちの方とおかあさんの祖先とは昔一緒だったんだぞ」
「ええ、ほんとう?」
 おかあさんと振り向くと、
「人類の始祖がいたって、うちらはみんなそこにつながってるんだから」
 いたずらな笑顔。
「くだらない~」
 おかあさんはあきれたようにため息をつくけれど、
わたしの頭の中には電気のような衝撃が走った。

 そう、ほんとにそうだ。途中のだれがかけても
わたしは生まれなかった。脈々と欠けることなく
生を受け継いできたその一端に、わたしはいる。
わたしは……わたしの中には、すべての祖先、
すべての人間の進化があるんだ!
 どきどきと手が震えた。わくわくと心が躍った。
 わたしは一人じゃない。わたしの世代にだって、
血のつながりだけで何人もの人がいる。
家系は樹状図だというけれど、そんなじゃない。
幾重にも重なり合い、結びつきあう、シナプスのように。
むしろ網の目のようにはりめぐらされながら、途中で切れ、
また別の網とつながり、果てしなく大きな広がりをもって存在している。
 はじめの人が生まれ、その人から投げられた網。
投網のように広がっていく人間の命は、
その中に何をとらえようとしているのだろう。
 そう考えると、はるか規模の大きさに、なんだか頭がくらくらとした。


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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