文繰文庫 ショートショート ブログ版

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2017-07

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ショートショート 907

●だれかがだれかを

 朝。部署の一人から、着くのが送れそうだと電話が入った。
「また遅刻だよ。社会人としての自覚がないよな」
 部署の二人が言った。

 ある日。遅刻で社会人の自覚が無いと言った人が、
就業時間になってもいなかった。
「また無断遅刻か。あいつは社会人の自覚がないな」
 普段遅刻して、社会人の自覚がないと言われた人が言った。
「まあ、その点に関しては、そこにも仕事時間中に
仕事以外のことばかりやってるのがいるからな」

 別の日。仕事時間中に仕事以外のことばかり
やってると言われた人が別の人のところから戻ってきてつぶやいた。
「何度説明すれば覚えるんだか。仕事やってるってわかってるのか? 
社会人の自覚がない」
 そして席に着くと、
「まあ、目の前でぼりぼりぼりぼり食うだけの奴もいるけどな」

 また別の日。後ろのほうで楽しそうに話す声を
耳にしながら仕事をしていると、
「まったく、仕事中に私語とはいいご身分だ。社会人としての自覚が無い」
 食べるだけと言われた人が憎々しげにつぶやいた。
「あっちの、お客対応もまともにできない奴といい、
社会人をどう思ってるんだか」

 さらに別の日。わたしが食事から戻って
扉に手をかけようとすると、中から話し声が聞こえてきた。
「あいつはいてもいなくても同じ。ろくに仕事もできないし、
なんだかんだ言って残業もさぼろうとするし、社会人の自覚がないよな」
 わたしのことだ。
「なんなの、この部屋……」
 入る気力もなくなって、しばらくその場に立っていた。


テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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